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療養型病院とは

療養型病院とは、主な病床(ベッド)が療養病床である病院の通称です。
1.精神病床、2.感染症病床、3.結核病床 については、それぞれ特定の病気の方が入院する病床となります。
それ以外の病気の患者さんは 4.療養病床 と 5.一般病床 の何れかに入院することとなります。

療養病床と一般病床の違い

療養病床と一般病床は、治療のステージ(段階)によって区別されます。
病気の種類による違いはなく、治療のステージの違いにより区別されます。治療のステージは大きく2段階に区別されています。

急性期とは

病気の症状や徴候の発現が急で、命の危機状態にあり、発病後の経過が短い時期で、手術による症状が急に現れたりするため、全身管理を必要とする時期のことです。入院期間は長くて1ヶ月程度となります。

慢性期とは

症状や徴候は激しくないが、治癒することが困難な状態が長期間にわたって持続する時期で、長期間の医師による管理や治療、看護が必要とされる時期を指します。
時間を掛けた療養が目的となりますので入院期間も1年以上となるケースもあります。
 
大和田病院は慢性期の患者さんの治療に該当します。

ステージの違いによって、人員配置なども変わります。

一般病床と療養病床は、その目的の違いから、いくつかの違いがあります。

スタッフの違い
医師と看護師の配置基準が、一般病床よりも療養型病床の方が少なくなります。その代わりに、一般病床では配置規定のない看護補助者の配置が必要となります。
スタッフの役割も、治療が中心となる一般病床では医師がメインとなりますが、療養型病床では、療養が中心となりますから、看護師や看護補助者がメインとなります。
一般病床
療養型病床
医師の配置
患者16人に1人以上
患者48人に1人以上
看護師の配置
患者3人に1人以上
患者4人に1人以上
看護補助者の配置
規定なし
患者4人に1人以上
スタッフの役割
今必要な治療の提供
療養生活の援助

介護保険施設との違い

医療保険適応の療養病床と異なり、介護保険適応の施設の中にも高齢者を受け入れる施設があります。それら介護保険関連施設との違いを以下に記載します。
主な施設
通称・備考
1.介護老人福祉施設
「特別養護老人ホーム」とか「特養」と呼ばれています。
2.介護老人保健施設
「老健」と呼ばれています。「従来型老健」、「在宅強化型老健」に分かれます。
3.介護療養型老人保健施設
「転換老健」または「新型老健」と呼ばれています。
4.介護療養型医療施設
介護療養病床と呼ばれています。区別のため、医療保険適用の療養病床は「医療療養病床」と呼ばれます。
5.介護医療院
「I型」、「Ⅱ型」に分かれます。

1 介護老人福祉施設(特養)

 寝たきりや認知症などによって、常時介護が必要な高齢者が生活する施設です。医師の配置の規定は無いため、医師不在の施設もあります。介護職の配置基準が各種施設の中で最も多く、介護は必要だが医療必要度の高くない入所者が日々を快適に過ごすための施設です。スタッフは、入所者の日々の快適な暮らしをサポートする役割が中心となります。
 コストが比較的安く、人気があるため、入所待ちの方が多く、空きが出るまでにはかなり時間が掛かります。入所は待機順ではなく、要介護度の高い希望者が優先されます。看護師の配置が少ないため、終末期医療を継続的に行うことは困難ですが、精神的かつ日常的なケアに重きをおいた看取りを行っている特養は増えつつあります。

2 老人保健施設(老健)

 老健は、在宅復帰に向けて機能回復訓練(リハビリ)を行うための施設です。基本的には退院して自宅復帰を目指す方が入所されるための施設です。入所期間が定められているのが特徴で、3ヶ月ごとに入退所認定が行われます。医師や看護師の配置義務は最低限になっており、施設によって大きな差があります。入院と医療保険によるリハビリ終了後、自宅に戻る前にまだリハビリを必要とする場合、また自宅から短期集中リハビリの目的で入所する場合に使われます。
 従来型の老健は、入所コストが入院よりも安く、在宅復帰に関わる要件も厳しくないので、本来の目的ではない長期入所や特養入所待ちに使われるケースもあります。在宅復帰型老健には、本来の老健の役割である在宅復帰の要件が課されているため、介護保険の範囲でも受けられるリハビリの質は高くなる傾向があります。その代り長期入所や看取りケアは困難となり、半ば強制的に退所せざるを得ないこともあります。

3 介護療養型老人保健施設(転換老健)

 介護型療養病床の転換候補として、より介護を充実させた形で2008年5月に新設されましたが、病院からの転換が進まずターミナルケアについては後述の介護医療院が新たな受け皿となっています。 医師の数が1/3に低減されているほかは、看護師と介護者の配置は介護型療養病床と同基準です。夜間における経管栄養、喀痰吸引に対応するために、医師は常勤、看護師の夜間配備が必要となっています。
 病院からの退院後、それらの医療処置を長期に渡って必要とする方が入所する施設ですが、その数は大変限られています。

4 介護療養型医療施設(介護療養病床)

 病状は安定しているものの、日常生活上医療が必要な要介護者が入所する施設です。元は病院ということもあり、医師や看護師の配置基準は介護保険施設の中では最も高くなっています。療養型病院(医療療養型病床)は、診療報酬の制度上、医療必要度の低い患者を受け入れることが困難となっており、その受け皿として用意されています。スタッフは医学的管理と日々の快適な暮らしをサポートする役割を持っています。
 既に廃止が決まっており、多くの介護療養型医療施設が後述の介護医療院又は医療療養病床への転換を図っています。なお、介護療養型医療施設には、認知症患者を長期間受け入れる老人性認知症疾患療養病棟を保有するところもあります。

5 介護医療院

 介護療養型医療施設の廃止決定を受け、その受け皿として新設された医療機能を内包した介護施設です。介護医療院は、従来の病院における「治療を行う場」とは異なり、長期にわたって生活する「住まいの場」としての要件が課されています。その為、多床室においてもプライバシーに配慮してパーティションを設けることが義務化されるなど、療養型病院とは細かい点で異なります。
 人員配置は療養型病院(医療療養病床)よりも低めに設定されており、手厚い看護やケアは難しくなるため、急変の可能性はあっても基本的に容体が落ち着いている方が入院対象となります。Ⅰ型は介護療養病床相当のサービスと人員配置となり、継続的に痰吸引、経管栄養、インスリン注射等の医療措置が必要だが在宅医療は難しい、または看取りが近い方が入院対象となります。Ⅱ型は老健相当のサービスと人員配置がなされており、主に認知症ケアやターミナルケアを必要とする方を対象としています。
 2021年度末までは、既存の介護型療養病床または老健からの転換のみで新設はできず、当面は病院や老健の中に介護医療院の病棟が存在するというケースも増えてくるものと想定されています。
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